落ち込んでいる人がそばにいると、なにか言葉をかけてあげたくなりませんか?
・やまない雨はないさ!
・世の中にはもっともっと大変な思いをしている人がいるよ
・うじうじしたって仕方がないよ
・後悔したって何の意味もないんだから
・こんな時は○○するといいよ!
少しでも元気になってほしくて、少しでも気持ちを楽にしてほしくて、あれこれ言葉をかけちゃいませんかね。
でも、自分に当てはめて考えてみると、落ち込んでいる時って、このような言葉がけをされても心に響かない…いやむしろ、余計に落ち込んでしまうんですよね。
誰に何を言われても、そんな風に前向きに考えられない自分がダメだなって思ってしまうから…。
何も言わなくていい
じゃあ、自分が落ち込んでいるときって、どんな言葉がけをしてもらいたいんだろう?って考えてみたんですが、
結局のところ
何も言わんで欲しい
という結論になりました。
言葉は別にいらないんですよね。その代わりに、例えばそばにいて、わたしの話を「うん、そっか」と相槌を打ちながら聞いてくれるだけでいい。あるいは、そっと背中をさすってくれるとか…。それくらいの方が、なんだか気持ちが落ち着けるんです。
なんて考えていたら、
昔の事を思い出しました。以前、息子が落ち込んでいたとき。わたしったらあれこれ言葉をかけてしまって。
自分ではよかれと思って…だったんですが、わたしが話している最中に息子が言いました。「そういうの、もうやめて」と。ハッとしましたね。自分ではアドバイスをしたり、励ましたりしているつもりがなく言っていたんですが、やっぱりあれは励まそうとしていたなあーと後で分かりました。
あのときもやっぱり、落ち込んでいる息子は、側にいて話を聴いてほしかっただけだったんじゃないかと思いました。
励ましたりアドバイスしたくなる理由
そもそも、落ち込んでいる人にあれこれ言いたくなってしまうのはどうしてかって、
自分自身の不安を解消したいから
なんですよね。わたしは、息子が落ち込んでいる姿を見ているのが辛かったんです。息子が笑顔でいてくれないとわたしが不安なんです。このままずっと落ち込みっぱなしだったらどうしよう。立ち直れないんじゃないか。これからもっとひどい事が起こるんじゃないか…。そんな妄想が膨らんでしまうんです。だから、不安から逃げたくて、息子を励ましてしまったのです。
そんなのがベースにあったら、落ち込んでいる人の心に響くわけないし、元気になるはずないですね。むしろ重荷になってしまいます。頼むからそっとしておいてくれ!って心境です。
だから自分の不安は、自分で受け止めてあげないといけません。「ああ、わたしは今不安なんだね」「そうだよね、不安だよね」って自分に言います。自分が落ち込んだ時にそうして欲しいように、胸に手をあててそっとさすってあげます。そんなことをしながら、落ち込んでいる人のそばにいて、その人が何か話し始めたら、それを丁寧に聴くことに集中。
そばで落ち込んでいる人をどうにか元気づけたいと、あれこれ言いたくなったときは、自分が不安だっていうサイン。それが分かっていたらお口にチャックもできるでしょうから、「あ!今、励ましちゃった!これ以上はチャックでーす!」と言って、お口を閉じます。
余計な言葉をかけなくても、そうしていればきっと落ち込んでいる人自らが、「やまない雨はないんだ!」「世の中にはもっと辛い人がいるんだから」って前を向き始めると思うんです。
その状態になったら「こういう時はどうしたら良いと思う?」とアドバイスを求める気になるかもしれないし、他人の言っている言葉もすっと入ってくると思うんです。
相手を信じること
落ち込んでいる人を見て不安になってしまうのは、自分が不安だから…と書きましたが、それってつまり、相手を信じ切れていない、ということなんだなあって思います。
もし、この人は何があっても大丈夫。自分の力で乗り越えていける人だって思っていたら、どうでしょうかね。あれこれ励まそうとしますかね。アドバイスしますかね。
…しませんよね、きっと。
だから、お口にチャックしたあとで、”心のお口”で呟き続けるんです。
この人は何があっても大丈夫。
自分で乗り越えていける人だ。
わたしは彼(彼女)を信じる。
って。不安になるたびに、呟くんです。
そうすると、目の前で落ち込んでいる人がだんだんと「大丈夫な人」に見えてくるから不思議です。 そうなると、自分自身がまた安心できて、より一層、大丈夫だ、という気持ちになっていきます。
自分が大切に想う人…家族や親友や恋人に、笑っていて欲しいと思うのは当然のことですよね。大切な人だからこそ、その人が落ち込んでいると、自分も同じように落ち込んでしまって。早く何とかしたくなっちゃう。
でもやっぱり、そこはぐっと我慢して、まずは自分の不安と向き合う事が先なんですよね。
大切な人にまた笑顔が戻る日を信じて、信じて、信じて、たまに不安がぶわーっと大きくなって、閉めたはずのチャックが開いてきても、めげない。いや、信じるって決めたんだ!ともう一度、信じるぞ!と自分に言うんです。
そのくらい大切な人なんだ
その人が落ち込んでいると、自分も落ち込んでしまう。
その人が悲しんでいると、自分も悲しくなってしまう。
それは、そのくらい大切な人だっていうことです。
そのくらい、大切な人が自分にはいるんだ、っていうことですね。
それって、幸せな事ですね。
わたしも家族が落ち込んでいると平常心でいられなくなって、お口のチャックを全開にしてあれやこれやと言葉をかけてしまいがちなんですが・・・やっぱり、そのくらい大切な人だからこそ、信じなくちゃって。そのくらい大切な人だからこそ、信じられるよね!って、自分に言っています。